喋らなければイケメンだよね
「俺としてくれるのか?」


「うん」


あたしは頷いた。


「あんたのひどい手紙を読むのは毎回大変だけど」


椿龍は笑った。あたしも笑った。


「手紙には、いくらでも自分の言葉で、自分の意思で書けるでしょ。あたしが全部聞いてあげる。だから、自分らしくしなよ。ありのままの椿龍をあたしに見せて。そうしたらあたしも......」


「ありのままか」


「そうだよ」


雨はいつの間にか上がり、青空が顔を出していた。


「またな」


椿龍はそう言い、あたしに手を振った。


あたしは小声で言った。


「またね」


あたしは、青空の下で夏の到来を感じ、一人の武士に束の間の別れを告げた。


「あたしもあんたの事知りたい。もっともっと」


青空には雲が流れていた。
< 31 / 31 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:6

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

桜drops
潤野/著

総文字数/1,188

恋愛(純愛)6ページ

表紙を見る
Home
Home
潤野/著

総文字数/3,375

恋愛(純愛)22ページ

表紙を見る
神様なんていない
潤野/著

総文字数/2,540

恋愛(学園)20ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop