金魚の恋
yoshiko
読み方によっては、kakoとも、読める。
懐かしいよ、まったく。中学三年生時、机が隣り合った。

まったくの、偶然。
初めて立ち寄った喫茶店に、yoshikoは居た。
ピンクのフレームのメガネをかけた、yoshikoが居た。
同性と明るく談笑している、yoshikoが居た。

「あらあ、久しぶりい! 元気してるう?」
やゃハスキーな艶のある声が、bokuにかけられた。
「えっ?! あ、あぁ…」
口ごもってしまった、boku。
あの頃、君に気が有ったbokuだってこと、yoshikoは知っているだろうか?

「真面目ネ」
それを君に言われると、bokuはうなだれてしまう。
yoshiko
君は真面目じゃない、と言うのかい?
まるで
「そうなの」
「住む世界が、違うわ!」
まるでそう、言いたげだ。

そう!
君は、小なりと言えど社長令嬢だ。
名門女子大生だ。
bokuときたら
しがない町工場の、工員さんだ。

yoshiko
君は、一体 なにもの?
「女性よ」と、答える?
それとも、じっと考える?

大げさでなく、この世でたった一人の
bokuにコンプレックスを抱かせる女性 ━ yoshiko。
bokuをヒプノタイズする女性 ━ yoshiko。

「真面目ネ」
君の何気ないだろう言葉にさえ bokuは、ドキリ!とする。

「枠から 何とか脱け出そうとしているみたい」
yoshikoの、boku評。
「あなたを見ている もう一人のあなたが居るわ」
yoshikoの、boku評。
「大ざっぱな のんびりした女性がいいわね」
yoshikoの、boku評。

女性の浮気は、生理的に許されないことだと言う。
男の精液の幾分かは、女性の血管に入り血液に混じると言う。
万が一にも、胎児がお腹に居たら大変だ、と。

別れ際、yoshikoが、言った。
「挙式前に会えて、ホントに良かったわ」
何を、このbokuに言いたかったのだろうか?


シトシトと降り続けた 雨
まったく イヤミだ。
どうせ降るなら ザーッと
降ればいいのに。

ギーコ ギーコ と
ワイパーがうるさいぃぃ!
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