鏡怪潜〜キョウカイセン〜
影宮さんからの最後のメッセージがあったのは13分前。


丁度家に帰っている時。


私よりも先に家に帰って、ナニかを見てしまったんだ。


「影宮さん……大丈夫だよね?」


言いようのない不安に襲われて、「大丈夫!?」とメッセージを送ってみるけど……それに既読の文字が付かない。


もしかするともう……。








ダメだ、あんな事があったから、悪い事ばかり考えてしまうよ。


人の心配よりも……自分の心配をしなきゃいけないのに。


保健室で影宮さんに言われた言葉が重くのしかかる。










鏡の中にナニかがいると知ってしまったのに、気付かないフリなんて出来るのか。











今でさえ意識的に鏡を見るのを避けているのに、万が一、鏡を見た時にナニかが映っていたら。


私は、気付いていないフリなんて出来る自信がないよ。


もういっそ、眠ってしまおうかとも思ったけど、お腹も空いたしお風呂にも入っていない。


布団の上に落ちた、赤い粉……固まった咲良の血を見て、お風呂には入りたいと思った。


だけど……お風呂場にはもちろん、脱衣所にも鏡はある。


そこにナニかが現れたらと思うと、部屋から動きたくはなかった。
< 14 / 223 >

この作品をシェア

pagetop