鏡怪潜〜キョウカイセン〜
リビングで影宮さんと遅めの昼食。


「昨日と今日のペースで考えたら、明日には間違いなく数字が『0』になるわね。まあ、あんなに人が死んだら、明日も学校に行こうなんて考える物好きはいないでしょうけど」


「そうだよね。私達みたいに欠けた鏡を探しているならともかく、何もわからないなら、家にいた方が死ぬ確率は低くなるだろうし」


そう考えたら、今日の人数は異常とも思えた。


いくらナニかの夢を見て、家にいるのが怖いからと言って、理由もなく学校で過ごそうだなんて考えるのは。


まあ、私も二日目に同じ事を考えて学校に行ったから、人の事は言えないんだけど。


「でもね、恐怖ってものは厄介なのよ。例えば、トラウマになるようなホラー映画を見たとするわ。それを見た場所が、自分の部屋だった場合、そこにいる事が恐怖でしかなくなってしまうのよ。それなら、少し怖くても皆と一緒にいられる方を選ぶわね」


その気持ちは痛いほどわかる。


まさか、樹森君が人を殺そうなんて考えているとは思わなかったけど、少なくとも朝の時点では、樹森君と伊達君しか、そんな事を考えてる人はいなかったと思う。
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