真っ赤なお伽話
幕開けは神の気まぐれ。






不快だった。この世界が、この空気が、この世の人間が、この世の構造が、この世の道理が、この世の感情が。そして、自分自身が。
この不快感を文字に変換してみたところで広辞苑にある程度の言葉では表現できなくイミダス何十冊分もの文字を使ったところで足りないだろう。

それほどまでにこの世を憎悪しているんだ。それほどまでにこの世を愛しているんだ。恋焦がれているんだ。心犯されているんだ。私がこの世を愛しているのか、憎んでいるのか。そんなこともはやどうでも良いじゃないか。どっちも似たり寄ったり紙一重。表裏を成す物でもはや一つの球体。

ここで肝心なのは私がこの世界に感情を持ってしまったことなんだよ。愛してしまおうが、憎悪してしまおうが一度感情を持ってしま
えば破壊衝動を持たざるを得ない。愛してしまえば独占するために精神を破壊し、憎悪してしまえばこの世から消すために肉体を破壊する。



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