雨上がりの虹のむこうに
虹を待ってる



 マッキンリーのあるアンカレッジとは時差が17時間ある。


『登山隊6人がこれからアタックを開始します』


 そうブログに記載されたのが、05:30

 映し出される写真は闇で、標高のとなりに記されている数値がマイナス30度だということに、ぞっとする。夜明け前の、一番寒さの厳しい頃だ。


 日本時間は12:30


 とうとう山頂へのアタックが始まった。ブログで予告されていた通りの予定だ。こちらから調べたアンカレッジの気象も、このあと2日は穏やかで決行するなら今日がいいと判断されていた。


 山並さんが山に登っていたとしても、私は出来るだけ日常の生活を送ろうと仕事にも行っていた。

 それでも、心配で気持ちは北の空へと飛んでしまう。上の空で仕事をこなし帰宅してから恐る恐るブログを開いた。

 今日はいつもよりも更新されていて、その古い物から開いていく。もう山並さんは、登頂してしまったかもしれない。
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