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初恋
(この道を通るのも最後なのか…)
私は、普段通り通学している。一歩一歩、大地を踏み締めながら。今までの中学生活を思い返すかのように。
ふと、目の前に学校のグラウンドが見えた。

あれは…私が中学二年生の頃の話だ。私の頭にあの頃のシーンが蘇ってくる。
グラウンドには、まだ野球部が練習をした後の汗臭い臭いが染み付いている。
浅野 大和。私の初恋の人。
「カキーン!」
バットにボールが勢いよく当たった。
「ヤベッッ…」
「取らんか!クソォ-!」
新学期そうそう、朝から監督の声がグラウンドに響く。捕球の練習。大和はフェンスへと向かっていった球を急いで取りに行く。
華は何時も通り学校に向かう。
グラウンドと道路を切り分けたフェンスの隣をぼんやり歩いていた。
(野球部、今日も頑張ってんなぁ…)
のんびりと歩道を歩いていると、ボールが勢いよくフェンスを叩いた。
「ブッ!?」
「ちわースッ!」
球を拾いに来たのは大和だった。
(誰だろう?)
大和は爽やかで、ちょっと、ほんの少しだけ天パな青年。背が高くて日に焼けていた。走り去っていく姿は、まるで王子様のよう…。
私は、彼の白球を追う姿にすっかり見入っていまった。
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