新撰組と神の護り手伝説

お前だったのか、というセリフを言う時の顔は中々面白い




僕が生き別れたシスコン弟に絡まれてから、約2月経った。すっかり風は秋の匂いを運んできている。

吹悠は団子屋の隅の机で町人達の噂話を聞きつつ団子をもぐもぐと食べていた。


「…あの弥兵衛さん家の裏でまた人が斬られてたってよ!」

「違うよ。斬られてたんじゃなくて裸にされて体に《私が間違っていました》って書かれた状態だったらしいぞ。」

「あ!あたいが聞いた話だと朝、弥兵衛さんが見た時土下座して一人でブツブツ謝罪しまくってたらしいよ!」

「…なんか可哀想なやつだな…。」



町人達の噂は合っている。ここ最近、裏金に手を染めたもの、人身売買をするものなど、心が汚い奴らが相次いで同じような目にあっているという。


必ず刀を盗られて。

商人の場合は金を盗られる。


つまるところ命の次に大切な物だ。


それに人が斬られているのも事実だ。だが倒れ方からして刀を抜き襲ってきたやつしか殺されていないようだ。正当防衛のうちと言えよう。
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