もう一度あなたに恋をした。










…どういう意味?


って聞こうとしたのを、止めた。




佐伯くんがいきなり立ち上がったから。








「…そろそろ帰りましょうか。」



付き合ってくれてありがとうございました。と、微笑む佐伯くんの表情には、もう切なさは感じなかった。





「うん、そうだね。」






すっかり温かさを無くした未開封のココア缶を握りしめて、立ち上がった。










ふと空を見上げる。


肌寒さを感じる10月の夜の空は思ってたよりもくすんでて、まるであたしの心のモヤモヤみたいに、黒い雲が月を覆って離さない。




< 37 / 116 >

この作品をシェア

pagetop