会社で恋しちゃダメですか?


「今夜九時から、ミーティングをする。各部署から一名ずつ、信頼のおける人を指名して、メンバーとして招集するから」
「はい」
「これが、指名リスト。すぐにメールで出席確認して」
「はい。あ、営業部は山本リーダーですね」
「ああ、彼は売り上げもいいけど、統率力がいい。それにムードメーカーの役目も果たしてくれる」


園子は朋生が褒められると、純粋にうれしい。


「もう告白された?」
突然、山科が問いかけた。


「えっ、そ、そんなことありません」
園子は慌てて首を振った。


「ふうん。山本くんも随分奥手だな」
山科はそう言いながら、園子の目を見つめる。なんでも見透かされてしまうような、力強い瞳。


園子の心臓が急にスピードをあげた。
身体が硬直してくる。


「仲がいいようだけれど、僕がTSUBAKIの関係者だということは、絶対に口外しないでくれ」
山科が言った。


園子の心臓は、急停止。その衝撃がびりっと胸に響いた。
冷や水を浴びせられたように、手先が冷たくなる。


「どうしてですか?」
答えはなんとなく分かっている。それでもつい、訊ねてしまった。


「いまは、皆が一つになって、挑まなくちゃいけない。そこに不穏分子がいてはならないんだ」
「そうですね」
「余分な情報は、混乱の元になる。絶対に誰にも言わないでくれ」


山科にそう言われると、悲しくても園子は「はい」と言わざるを得ない。
信頼し合うメンバーに、秘密にしなくてはいけない事柄。

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