殺人ごっこ
幸乃の顔が、強調っていった。

僕の顔にも、冷や汗が流れる。


「凛太郎、これヤバいよ……」

「わ、分かってるよ」


赤く記されたその英文は、なんとも恐ろしいことを語っていた。

どうしよう、けど……もう登録してしまった。


けど、けど――


「凛太郎、もしかして登録したの?」

「う、うん……」

「早く退会しなよ! 抜けなきゃ、やばいよ?」

「わ、分かった……しとく、から。幸乃、お茶でも飲んでかない?」


――僕は強くなりたかった。


「うん……ごめん、せっかく来たのに興奮しちゃって」

「いいよ、下行こう?」


パソコンの電源を切った。

変な機械音をあげると共に、パソコンの画面が暗くなる。

それを見た幸乃は安心したかのように、胸を撫で下ろした。


「はあ……これで、もう大丈夫だね」

「うん、ごめん、幸乃。ノリで登録しちゃってさ……幸乃がいて、良かった」


ふふ、と幸乃が微笑む。

階段を下りるとんとん、という音が今日は虚しく聞こえた。


ごめん。

僕、幸乃のこと騙している。



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