カムフラージュの恋人
「ああ。元木葵さん。俺がずーっと尊敬してるパティシエ。その葵さんと、土方さんってカリスマ経営者の二人が経営するカフェなんだ。まさか葵さんと一緒に仕事ができる日が来るなんてなぁ。俺、生きててよかったってマジ思った。で、今日は急遽制服合わせすることになったから、夕方集合かかっちまってさ。ついでに“ミーティング”という名目で、みんなで晩メシ食べることになるはず」
「なんか・・すでにみんなと仲いいんだね」
「おう。葵さんと土方さん含めて、みんなとはなんつーか、志が同じ仲間って感じなんだよなー。だからか、初対面のときから気が合ってさ」
「そう」
「でも俺、みんなの中で一番年下だし、キャリア的にも下っ端だから、“仲間”とか言うとえらそーな響きに聞こえるんだけどさ、でもみんな、お客さんが喜ぶ顔見たいから、洋菓子作るのが好きで。だからパティシエになったってヤツばっか集まって。てか、葵さんと土方さんが、そういうヤツだけ採用してくれたんだ。俺らはみんな、二人に“引き寄せられた”って言ってんだけど」

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