ジュリエットじゃ終わんない
柊也ママは苦しそうに黙り込む。




「…

その時 柊也はなんて…っ?」


「…何も。
ただ瞳に寂しさを宿して…

ある日ふた言だけ。

居場所を奪われたって…
自分はちっぽけだって…

そう、落ち込んでた事があったわ」




わかるよ、柊也…


胸が痛くてたまんない…!



やっぱ柊也も…

あたしみたいに、透明な日々を過ごして来たんだね。




ねぇ…

いつだって大人は勝手だよね?



そーやって自分の都合で、絶対消せない親子の繋がりを、一方的に消そうとする。


あたしらにはその細胞が受け継がれてんのに…

なかった事にしようとする。





「あの子は…

そんなちっぽけな自分から目を背けるように、あの人(元夫)の話とか思い出を避けて来て。

そしてきっと、ちっぽけな自分を打ち消すように、一段と逞しくなったのね…」


そう続けられた言葉で…

悲しそーなキミを、思い出す。



ー「ビビリって…、なんに…?」

「…いろいろ」ー



今さら突き刺さるソレには、きっと…

"ちっぽけな自分"が含まれてたんだ。
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