もう、きっと君と恋は始まっていた




『じゃ、知佳、頑張れよ』


崇人は私にそれだけ言うと、奈々と腕を組みながら、奥に入っていった。


後ろ姿は完全に彼氏彼女。






『そんなにドキドキしてんの?』


不意に声を掛けられ、私は視線の先を変えた。




『……え…?』



『さっき、崇人と何話してたの?』


由樹君は私の顔を覗き込んで、そう問いかける。




『……別に、なんでも』


そう、答えてみたけど。

由樹君はニコッと微笑んだ。





『嘘、だね』


そう言う由樹君は、私の手を引いて、歩き出した。




『……………』


このまま由樹君に詮索されるのは苦しい。

なんて言ったらいいか分からないし…とりあえずこの話題から違う話題に変えなきゃ…






『そ、そうだ!
 見る映画が決まったら教えてくれるって言ってたよね…?』




『知佳、今、話を反らしただろ?』



由樹君はそう言って、顔を近づけてくるけど。


私は視線を反らした。




『ま、いいや。
 無理矢理聞き出すのも、男としてダメだと思うし。
 それに、明日もパンク状態で来られても困るからね』




『…明日?』




『明日、奈々がみんなでお花見に行こうって』





………へ……?




お花見?




『みんなって…?』



『知佳と俺、それから奈々と崇人の四人で』


由樹君はそう言って、意地悪な顔で笑った。






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