もう、きっと君と恋は始まっていた



『てかさ、てかさ!
 二人ってやっぱお似合いだよね』



そう割って入ってきたのは奈々。




『確かに。
 お前ら、付き合っちゃえば?』


奈々の言葉の後に由樹君が続けた。






『『はぁ!?』』


思わず、由樹君の言葉に、私と崇人は同時に返事を出してしまった。



何、言ってくれてんの!?


こんな奴、二度とごめんだ!!







『由樹もさ、奈々もやめてくれる?
 天変地異が起きたって、俺、知佳とは無理』


崇人の言葉に思わず、崇人の方に視線を変える。



“とか言っておきながら、あんたが先に一緒にならないかって行ったんじゃないかー!”


心で再び、崇人に問いかける。




でも、崇人は私の顔を見て、クスって笑った。

しかも人を小馬鹿にしたような顔をしながら。




『ほら、俺、こういう怖い顔をする女と付き合えないから!』



………何をー!!


言わせておけば、随分な言い方をしてくれるんじゃないか…




『私だって、こんな訳の分からない男なんか無理!』


仕返し、と言わんばかりに言ってみるものの、私の言葉に奈々も由樹君もクスクスと笑っている。




それもそのはず。


勢い余ってテーブルを手で叩きながら、叫んだものだから、飲み物を運んでくれた店員が驚いた顔をしている。



恥ずかしいことに、周りのお客さんも。





『ばーか』


一気に恥ずかしさが襲ってきた私に、崇人の一言で一瞬にして怒りが込み上げてくる。




やっぱ、こんな奴と別れて正解!


奈々や由樹君にも秘密のままにしておいて正解!!




もー!本当に崇人なんて、だいっきらいだ!!







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