もう、きっと君と恋は始まっていた

*13day この恋に終わりをください






『私、アセロラジュースで!』


店員さんに勢いよく飲み物をオーダーする私。


そんな私に、驚いた顔を見せる奈々と由樹君。





『二人とも、どうしたの?』


私は何もなかったかのように、そう、二人に問いかける。


二人は顔を見合わせ、そして、二人して困った顔を見せてくる。





『え、どうしたの?』


聞き返すも、由樹君も奈々もため息をついた。






『知佳さ、どういうこと?』


奈々はちょっと怒った顔をして、そう問いかけてくる。






『どういうことって、どういうこと?』


私は奈々にそう聞き返し、飲み物の支払いを済ませる。






『だから、崇人にフラれたって、どういうこと!?』


奈々の大きい声が店内にこだまする。





『ちょ…奈々!』


私は慌てて、奈々の口を手で押さえる。







崇人に失恋した、その事実だけでも、結構きてるのに。


そんな大きな声で言われても……ほら、他のお客さんの注目の的になっちゃってるよ…






『あ、ごめん……。
 でも、納得いかなくて…』


奈々は申し訳なさそうに、そう謝り、そして悲しそうな顔に変わる。





うん、私も、“なんで?”って思う。

崇人本人から“好き”って言われたわけじゃないけど。


由樹君や奈々の推測、奈々からの告白の時に、“崇人は知佳が好きだった”とか言われて否定しなかった…


だから。


その様子を見てたから、だから…期待、しちゃったんだけどな…。



でも、肯定もしなかったよね…あの時。




『うーん……やっぱり、崇人は私のことなんて好きじゃなかった、そういうことでしょ?』



うん。


そういうこと。


私は一人、納得しながら、店員さんから飲み物を受け取った。






『…けどさ、絶対に崇人は知佳のこと好きだと思うんだけどな…』


奈々のその言葉に、ズキンッて胸が痛んだ。





『それは奈々の勘違い。
 もう私はフラれたの!
 
 うん、この話はおしまい!』


私はそう言って、笑って見せるけど、奈々も由樹君もため息をついた。






そうだよ。


そういえば、別れる時も、“好きな奴ができた”、そんなこと、言ってたもんね…。






バッカだな…私。


崇人にそんなこと、言われてたじゃん。


なんで忘れてたんだろう…。




バカだな…


バカ……





本当にバカ…









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