ヘタレな俺の恋

ばぁちゃん、たのんだぞ!

夜遅く


結の両親と知らせを受けた、俺の両親が

病院に駆けつけた


「すみません!!!」

「浩一くん、頭を上げて頂戴!!」

ガチャ

「あ!お揃いですか?
丁度、目をさましましたよ!!
どうぞ!!」

中に入るためにエプロンやら帽子やら

気持ちが焦って

紐が上手に結べない


マスクして、目しか出てない





「ごめんなさい……」

結が言った


「反対されるかなって……言えなくて
ごめんなさい…ヒック……ヒック」

結が嘘をついた

「ばか!!大学休んで療養したら良かったのに!!ばか!!」

「ごめんなさい……」

「2人は、婚約してるんだから…」



結のベッドを囲っている、ビニールの中に入れないから、もどかしい


俺のために……


「結……ごめん…」




俺の方を見て、微笑んだ



そして、俺の両親を見て

「梅子さんから伝言です
梅干し棚、捨ててもいいけど
梅壺置いてた所の天井に、封筒をつけてるから、2人で旅行したらって
結婚式してあげられなかったお詫びだって……スー……スー…」


結が再び寝てしまい


外に出た

おとんは、めちゃくちゃビビってた

「昨日、梅干し棚を捨てようって話になったんだ!
うちに来たことないのになぁ」

「結は、時々そういうのわかるって」


初彼が成仏するまで、見えてたらしいからな


結の両親と話し合って

浩太は森重家の墓に入ることになった

名前は、残らないけど

骨が残る

結は、火葬とか立ち会えないから、俺が

しっかり浩太を送ろう


実家に帰ったら、梅干し棚に確かに封筒が

貼り付けてあった

中には、100万入ってた


そして、〝結婚式のかわりに〟と一筆


おかんは、ずっとばぁちゃんに嫌われているって思っていたらしい

嫁として、やっと認めてもらえたと

涙を流した


結うは、人を結ぶのがうまい

高校時代、色んな人をくっつけた

俺もその1人だった


ばぁちゃんとおかんは、俺からみても

仲良くなかった


ずいぶん前に亡くなったばぁちゃん

おかんのことが心残りだったのかな

浩太を連れて、天国行ってくれ


かわいい!ひ孫だぞ!!


浩太が1人だと心配だけど…


ばぁちゃんいるからいっか!!








俺の目は、ぶちはれてた!!


泣きすぎた



結の所に帰るのに……


ダッセ


辛いのは結なのに


情けない


何もしてやれなかったのに










< 33 / 76 >

この作品をシェア

pagetop