最後のコトバ
「あたしが死んでも、悲しむ人なんていない……か」
そう呟き、目を閉じる。
そして、片足を出してあとは落ちるだけだった。
「ストップ!!」
急に大きな声がして、体がビクッと震えて思わず足を引っ込めた。
それと同時に、腕を引っ張られて後ろへ倒れ込んだ。
「痛いな……」
塀もそれなりの高さがある。
それを急に後ろへ引っ張られたものだから、強い衝撃を受けた。
それにもかかわらず、あまり痛みを感じない。
痛いのは痛いのだけど、強い痛みではない。
よく見ると、見知らぬ男があたしの下敷きになっていた。
このせいか、と冷静に自分の状況を把握する。
そんなあたしとは裏腹に、彼は凄い剣幕で言う。
「何やってんだよっ。死ぬ気か!?」
同い年くらいの男だろうか。
凄い勢いで怒る。