雨の日、キミに欲情する


川田さんや矢野さんとは対照的だったのは剛田さんだ。

口をポカーンと開けて、驚いた顔をして私と圭ちゃんを見つめていた。

だけど、眉間の皺を寄せて厳しい顔をする野島さんに気付いた剛田さんは、すぐに神妙な顔つきに変わった。


そして厳しい顔をしたままの野島さんは、


「野々村。どういう...事だ?」

ちらりと圭ちゃんに鋭い視線を向けて、私に低い声を出して聞いた。



えっと、あの......



「あの、そのぉ...圭ちゃんは....」


言葉に詰まる私は


「私のお兄ちゃんの、友達です!」

ーーーと、それしか言えなかった。
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