ずっと隣で・・・
「いつまで玄関先で喋ってんの?水野君・・・よく来てくれたわね。
さあ・・上がってちょうだい。」
母に言われ私たちは家に上がった。
菫のマシンガントークのおかげか
弦の緊張は電車を降りた頃よりよくなっていたみたいだった。
ここは悔しいが菫に感謝だね。
そして
和室に案内された私たちは二人は両親と向かい合うように並んで座った。

弦も私も正座して両親と向き合った。
弦の顔は緊張で強張ってるのが凄くわかった。
そして弦は軽く深呼吸をすると
「今日は、千鶴さんとの結婚のお許しをいただきたく、お伺いに参りました」
ドラマとかではこういう光景何度か見たことあるんだけど
実際に自分がその立場になって気づいたことがある。
自分の親を目の前にしているだけなのに恐ろしい程緊張する。
学校をサボったのがバレるんじゃないかという緊張と同じにしてはいけない。
きっと弦はその何倍の緊張しながら言ったのだろう。
弦はずっと頭を下げている。もちろん私も・・・・
「水野君頭をあげてください。千鶴も・・・」
すぐに父が声をかけた。
「水野君の事は千鶴から聞いている。それに学生の頃よく家に来てくれたし。
初めて会うわけでもないからそうかしこまらなくてもいい。
 私から言えることは一つだけだ。こんな我儘な娘を選んでくれて
 ありがとう。娘をよろしくお願いします」
父が頭を下げた。
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