ずっと隣で・・・
「須田さんってなんだか憎めない人だね」
帰っても話題は須田さんだった。
「本当に自由人でね、急に海外に行っちゃったり、かと思えば
 工房にこもって数日出てこなかったり・・・そして経営は人任せ。
社長って言葉が一番似合ってないんだけど・・・憎めない。
あの人の作るものって本当にあたたかみがあって繊細で・・・
悔しいくらいにかわいいんだよ。」
須田さんの事を話す弦の顔はイキイキしていた。
「弦って本当に須田さんが好きなんだね。何だか妬けちゃう」
半分本気半分冗談で言ったんだけど
弦はなぜか本気にとった様で
私の手をぎゅっと握りしめ
「須田さんの事は尊敬してるけど、好きなのは千鶴だけ」
真面目に答える弦をみてたら笑いが止まらなくなった。
でも胸の中はホカホカしていた。
幸せだなって・・・
「そんなのわかってるよ。」
私は握った手を強く握り返した。
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