ずっと隣で・・・
気が付けばさっきまでのよそよそしさは薄れ
最初の時よも徐々に会話がスムーズになっていた。
「弦は・・元気だった?」
「ぼちぼちかな・・・」

昔話だと気軽に話せるのに
お互いの知らない部分を知ろうとすると
なんだかそわそわして聞くに聞けないけど
なんでこんなに優しくするの?

「本当は仕事かなんかで新幹線に乗ろうとしてたんじゃないの?
私と会わなければ・・・本当にごめん」
私は頭を深く下げた。
新幹線代だって決して安くないのに・・・本当に申し訳ない気持ちになる。

「気にすんなって。俺が無理やりここに連れてきちゃったわけだし・・・
それに今回は仕事じゃないし」
「え?」
仕事じゃなかったって・・・
「・・・実家。ここ1年くらい忙しくって実家にも顔出せなくってさ
たまには帰って来いってうるさかったから・・・」
そういうと弦は大きく背延びをする様なしぐさで後ろにもたれかかった。
「せっかくの帰省を私のせいで・・・ごめん」
本来私は今日、京都に来るべきじゃなかったんだと痛感した。

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