ずっと隣で・・・
どのくらい歩いたのだろう
ホームのどの辺にいるのかもわからない。
手を掴まれ歩いている間私は地面しか見ていなかったから。
歩いている間に乗るはずだった新幹線が到着したのはわかった。
そして新幹線が発車した時、男の人の足が止まった。

「ここでいっか・・」

そんな声が聞こえた。
声の感じは若そうな感じだった。
でもなんとなくだが懐かしさを感じた。
「ここに座ってちょっと待ってて」
男の人は私のボストンバッグをベンチに置くと小走りでどこかへ行った。
独り取り残された私は流れる涙を拭うので必死だ。
手に持っていたハンカチは涙でぐしょぐしょになっていた。
私はボストンバッグからハンカチタオルを取り出し再び涙をふいた。
そして初めて前をみた。
そこはホームの端に近い場所だった。

・・・私って新幹線乗らなかったんだ。
次の新幹線って・・・回りをキョロキョロするが
掲示板が自分の場所から少し離れた場所に見え
時間がはっきり見えなかった。
するとさっきの男の人であろう人がこっちに向って歩いてきた。
男のひとがこちらに近づくにつれ
その姿が徐々にはっきりと見えてきた。

そして私はその場で固まった。
「・・・・水野くん?!」

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