クールなヒーローに甘いお菓子を。

「ばいばい、舜」



それでも、区切りを付けなくちゃいけないんだ。



「千秋待って。話だけでも聞いて」


舜はそう言ったけど、私は聞くつもりなんてない。



「"浮気者"の私に、用なんてあるわけないでしょ？」

「……ッ」



あぁ、また舜の悲しい顔。



そんな顔をさせてるのは自分だという自覚はあっても、出てくるのはやっぱり突き放すような言葉ばかりで。




「今度こそ行こう、朔」



浮気者だったという事実をいつまでも引きずってる自分の卑屈加減に腹が立っていた。




朔の手を引いて今度こそその場を後にする。



舜の悲しそうな表情。

周囲の好奇の目。

そして、朔の何か言いたげな視線。




全てに気付いているのに、何も考えたくない私はその場を逃げ出した。