クールなヒーローに甘いお菓子を。
「朔」
「ん?」
「話がある」
ピタッ、と朔の動きが止まった。
包丁をまな板に置いて、ゆっくりと私に向き直る。
「明日でいいって言ったのに」
そう言って朔は苦笑した。
「嫌だ。今言いたい」
「うん、じゃあ今聞く」
自分で言いたいと言っておきながら、いざとなると緊張し過ぎて口内の水分がカラカラだ。
「舜と、全部話してきたよ」
「うん」
「仲直りもしてきた」
「そっか。よく頑張ったね」
朔の声色が優しくて、なんだか安心する。