キミじゃなきゃダメなんだ


思えばデートの時から、私の気持ちは先輩にモロバレだったのかもしれない。


だけど先輩はなにも言わず、私から言うのを待ってくれている。

昨日、私がヤキモチ焼いたってわかっても、問いただそうとはしなかった。



『僕が好きなのは、百合だから』



なんて、安心させるようなことを言って、彼は私を待っている。


たぶん、歳上だからとか。

男だからとか。

そういうものを気にして。


あんなにも切ない、苦しそうな目で、私を見つめていたくせに。


早く言わなきゃ、って思った。

私、何してんだろ、って。


黒い感情については、この際無視する。

スパッと言えばいいんだ。


そうすれば、私は先輩の彼女。


ちょっとは余裕が持てるはずだ。わかんないけど。だって彼氏できたことないし。


とにかく、だ。


パニックになったらとりあえず逃げるという悪癖を、どうにか押さえて。

言うんだ、今日。


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