キミじゃなきゃダメなんだ
黙って見つめる私と里菜に、チョコちゃんは続けた。
「だから先輩だって、『気にしてないから』って言ってくれてたんでしょ?先輩は、それだけ本気なのよ、あんたのこと。本気であんたのこと、惚れさせたいって思ってるのよ」
....そうなの、かな。
いかんせん自信がないから、いまいち信じられない。
だって、先輩が本気で好きになるようなところがないし、私。
「.......」
....どうするのが、正解?
黙って悩む私の横で、里菜が感動したように、
「チョコちゃん、素敵!」
と言って、チョコちゃんに抱きついていた。
*
次の日。
三時間目の移動教室に間に合いそうになくて、廊下をパタパタと走る。
周りにはあまり人がいなかったから、私はすっかり油断していて。
曲がり角で汐見先輩とバッタリ会った瞬間、驚いて持っていた教科書類を床に落としてしまった。