I先輩
 


「どういうことですか?」



梨乃ちゃんが言った。

梨乃ちゃんもわたしと同じ事を思っていたみたい。

千彰先輩はハァとため息をついて片手で頭をかきながら下を向いた。



「俺は…あん時の俺は、人の物ならなんでも欲しくて
よく、誰かに彼女出来たら無理矢理奪ってた」



先輩は顔を上げないまま続ける



「実際、俺みたいのにコロッと騙されて惚れる女がバカなんだって、しかもそんな女に惚れてた男はもっとバカなんだって思ってた。
だから自分は悪くねーって思ってたし」

「…だから、俺の時も?」



たか先輩が言うと、千彰先輩が小さく頷いた。



「たかに彼女が出来た時も、やっぱ人の物ってどうしても欲しくなって…たとえ親友の彼女でも。」


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