I先輩
 


「たぶんカズ5分で来るな…
だから、5分以内におさめるから」



おさめる…って…何を!!?

千彰先輩はわたしの目の前で止まると、わたしと目線を合わせるようにしゃがんだ。



「俺は別に、お前を困らせたい訳でも、あいつと別れさせたいわけでもない」

「へ?」



わたしが間抜けな声を出すと、先輩は下を向いて頭をかいた。



「俺はお前が好き、ってだけだし…
どっちかっつーと今は邪魔したいとか奪いたいとかそーゆんじゃなくて、お前らを応援したいって気持ちなんだよ」



千彰…先輩……



「だから、俺が原因でお前らの仲が悪くなったとしたら、その方が嫌だし
…だから、俺のことは気にすんな」



先輩はわたしの頭に手を置くと、ニッと笑った。



「俺は前の俺じゃない
俺だってもう、人の幸せ願えるようになったんだ」



わたしが幸せになることで、千彰先輩も幸せになるのなら

わたしは、絶対に幸せにならなきゃいけない。


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