I先輩
 


窓際1番奥の、わたしの特等席。

なんだか先輩に名前を呼ばれるのは、他の人に名前を呼ばれるのよりもずっと、胸のあたりがくすぐったくなる。



「そこわたしの席ですよー?」

「んっ、ここ、ここっ」



先輩が自分の膝の上をトントンと叩く。



「けっ、結構です!」

「もう照れちゃってぇー」



そりゃあ、みんないるんだから無理でしょ!?

先輩は座ったまま窓枠にヒジをついて外を眺めた。



「思えばこっから見たっけー…ことりちゃんのパ「もうっ、それは忘れて下さい!!」



いいじゃん、くまだって!



「ことりちゃん」



先輩がそう言ってわたしの腕を引っ張ると

風でカーテンが舞った。

わたしは引っ張られた衝動で少し前のめりになって、それから…



「なっ…!!」



唇が、触れた。



「あれことりちゃん顔赤いよー?」

「誰のせいでっ…!」



忘れてた…
先輩は、キス魔。


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