I先輩
 


その時、教室のドアが開いた。



「あ、いたいた」

「カズ先輩…?」

「ことりちゃんC組だったんだね」



私は慌てて、ドアに手をついてよしかかっているカズ先輩の所に行った。

クラスの女の子たちがざわざわ言ってる…

やっぱ人気あるんだ。



「無断欠席はいけないなぁ」

「あ…あの…すいませんっ」

「なんか来れない事情でもあったの?」

「えっ…と……」



わたしが黙り込むと、先輩はわたしの頭に手を置いてクシャクシャとなでた。



「ま、今日はちゃんと来るんだよ?」

「はいっ…!」



梨乃ちゃんのことは言えなかった。



「じゃ、俺戻るね「あのっ!!!」



カズ先輩が戻ろうとした時、わたしの後ろでそれを呼び止める声がした。



「琴璃が昨日休んだのは部活ないって言われたからです」



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