I先輩

過去の過ち

 


「違う!バカっ!!」



梨乃ちゃんの怒鳴り声が家庭科室に響いた。

あの後、わたしは梨乃ちゃんに頼んで料理を教えてもらうことにした。



「だって…」

「だってじゃないしっ!」



うー…鬼……

結局、わたしたちはケーキを作ることにした。

ケーキって、もらったら嬉しいし…!



「だからってバカバカ言わなくても…」



ブツブツと文句を言いながら材料をかき混ぜる



「文句言う暇があったら手動かしな!!」



梨乃ちゃんは…厳しい



「結局、審査員って先生たちでしょ?
ロウソクの代わりにタバコでも指しとけば?」

「えー」



それは、ナシだよ

でも…先生たちが笑顔になるケーキって…全然思いつかない。

それに、本番は明後日…

どうしよう



「あ!そーだっ」

「なに?なんか思いついた?」

「今日、練習用のケーキうまく焼けたらカズ先輩に持ってっていーかな?」



わたしがそう言うと、梨乃ちゃんの口から小さく舌うちが聞こえた。


< 95 / 152 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop