幼馴染み~初恋物語~
幼少期

「大きくなったら何になるの?」

「サッカー選手のお嫁さんっ!!」


これは私が5歳の時、学年で言えば年長組の頃に、父親から尋ねられた質問に答えた時の話。

「◯◯選手のお嫁さん?それとも▲▲選手のお嫁さんかな?▲▲選手はイケメンだからモテるだろうね~?」

「ちがーうっ!!」

私が言ってるのは、父親の言った有名なサッカー選手ではない。

幼稚園が終わると、母親と一緒に公園の砂場でママゴトをして、家に帰るとアニメを見て、スーパーに買い物に行くとリズムゲームを1回だけさせてもらうのが楽しみな子だったので、サッカー選手に興味があるわけではなかった。


そんな私の名前は星野 櫻(ほしの さくら)。


本当にどこにでもいる普通の子。

人と違う事があるとすれば、3月生まれなので、同級生より一回り小さい事ぐらい。

サッカー選手というのは現役の選手ではなく、遠い未来にサッカー選手になる可能性のある幼馴染みの男の子。


彼が広澤 和樹(ひろさわ かずき)。

斜め前の家に住んでいるサッカーの大好きな可愛い少年。

ある日の公園で、和樹君の母親と私の母親が話していた時に、和樹君がこんな風に言った。


「和樹?大きくなったら何になりたい?」


「サッカー選手になって、櫻ちゃんを僕のお嫁
さんにするんだよ?」


母親達が大笑いしてるのに、照れる訳でもなく平然としている和樹君の言葉を真に受けて、私も将来はサッカー選手のお嫁さんになりたいと思ってた。


そう。和樹君のお嫁さん。


私達二人の物語はここから始まったんだ。





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