幼馴染み~初恋物語~
中学1年生(秋)
こうして初恋は失恋して、優しくしてくれた健一を振って、後味の悪い櫻の中1の夏は、終わりを告げた。

暑かった夏休みが終わると、受験の為に三年生は部活を引退するので、健一は部活にあまり顔を出さなくなる。

それでも櫻は健一がたまに後輩の指導に来ると、会話もするし、トークアプリでやり取りだってする。

それは和樹のように気まずくなって終わりではなく、健一が何事もなかったように話しかけてきてくれるからだ。

失恋のことも、口説くような会話でもなく、本当に雑談程度。

和樹君もそのくらいの距離を保ってくれれば…………

口も聞いてもらえないほど、嫌われた理由が聞けるのに…………

なんて今度は大人の健一と子供の和樹を比べていた。

そんな事を考えてしまうくらい、和樹は今でも徹底して櫻に無視を決め込んでいた。

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