幼馴染み~初恋物語~
中学1年生(冬)
雪がチラチラと舞い振る正月。

櫻が柚乃と初詣に来ていた。

この神社は、秋の祭りが行われた神社で、お賽銭を入れてお参りするにも、大行列を作る賑わいを見せている。

慣れない着物を親に着せてもらった櫻と柚乃も、境内でお参りする順番を待っていた。

「もーっ!!下駄とか本当にヤバいっ!!足がいたーいっ!!」

そんな柚乃を励ます櫻。

「もうちょっとでお参りできるから、少しだけ我慢できる?」

「もう無理~!!」

慣れない下駄で長時間歩くと、親指と人差し指の間の皮が捲れて痛くなってくる。

せっかく並んでいたのに、この場を離れるとまた並び直さないといけないのだから、簡単には引き返せなかった。

「どうしよう…………一度座って休憩する?」

「う~ん…………それも嫌かなぁ。あーっ!!もうっ!!空が飛べたらいいのに~っ!!」

人混みで叫んだ柚乃に気付いて声を掛けてきたのは、健一だった。

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