君が居た頃。

季織side

地面が焦げるような暑さ。
私以外の生徒たちは、
朝礼台に向かって整列している。

私は、その後ろの木陰で、
膝を抱えてそれを見ていた。


いいなぁ、私も皆と一緒の場所で
終業式の話を聞きたいのに……。




私は昔から身体が弱く、
体育とかはいつも見学で、保健室常連。

今日みたいな暑い日は、
熱中症の心配までされて
日陰で皆の背中を眺めている。

うちの高校は中高一貫だから
ほとんどの皆とは
中等部からの付き合いで、
慣れてくれてるからいいけど。


……寂しいのも、本音。
特別扱いされたくないの。


「季織は無理しなくていいんだよ」


そんな言葉が、痛いんだ。


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