白いジャージリターンズ~先生と私と空~

空だってさ、毎日成長してるのに。

ほんの数日お風呂に入れなかっただけで、空ってしっかりしてきたなと感じる。

空にとっての、1日は大人の何倍も成長するのに。


大事なその時間をもっと俺がそばにいるべきだった。

楽しそうに笑って毎日過ごしてる直の、助けて!のSOSに気付けなかった。


きっと、頼りたかった。

投げ出したい日もあった。

いくら物分かりのいい空でも、24時間一緒にいれば大変なことはたくさんあって。

それを、遅く帰ってきた俺に話すことができなかったのかもしれない。


俺の話をいつも聞いてくれた。

俺は、甘え過ぎてたな。



直が限界になって、元気がなくなってから気付くなんて、本当にバカだな。



缶ビールをおでこを当てて、目を閉じた。




人一倍周りに気を遣う直にとっては、ママ友との付き合いだって、ストレスだった。

そこに、長谷川先生の問題まであって。



月を隠すどんよりした雲は、風に乗って動いていくのに、月はなかなか見えない。


いつも、こうして月を見てたな。

あの頃。



会えなかったあの頃。

直も見てるかなって月に直を重ねてた。




ダメだな、俺。


大事な大事な直の笑顔を取り戻す為に……

何ができるだろう。




【先生目線END】




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