残念御曹司の恋
照れくささを隠して少しつっけんどんに言った。

「見た目だよ。俺、お世辞にもかっこいいとは言えないだろ？」

そう告げると、司紗はもう一度俺の顔をまじまじと見つめた。
「確かに」という顔をして。

正直だな。きっと、こいつも俺のことを残念御曹司と呼ぶのだろう。

そう思って、「失礼なやつめ」と言ってやろうとした瞬間、司紗がもう一度口を開いた。

「別に見た目で会社経営するわけじゃないのにね。変なの。」

自分のことでもないのに、その顔はとびきり不服そうだ。

「周りの期待が過剰すぎて、大変だね。」

そう言って、司紗は笑った。
それは、弾け飛ぶような笑顔で。

その瞬間から、きっと。

俺はこいつのことが、人間的に好きなんだと思う。

そして、この女にずっと恋をしているんだと思う。
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