彼があたしを抱くとき

「すず、起きてる?」

母の声に、あたしはいら立った。

母も、もう床に入っているはずなのに。

あたしは密やかな楽しみに、邪魔が入ったので、不機嫌に返事をした。

母は自分の足が、いかにつめたく暖まらないかを、
くり返しくり返し、のべる。

それは心労のためだと言う。

母の声は長く長く尾を引き、あたしの耳のそこにたまっていく。


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