極甘上司に愛されてます
10.密室の告白予告


「ん……」


まぶたを閉じていても感じる太陽の眩しさで目を覚ますと、編集部の時計は八時過ぎを差していた。

私、いつの間に寝ちゃってたんだ……っていうか、机で朝まで寝たせいか、全身痛い。

うーんと伸びをすると肩を何かが滑り落ちていって、そのまま床に着地した布の塊を見て私は目をぱちくりさせた。

私のひざ掛け……あ、もしかして編集長が掛けてくれたのかな。


「編集長……?」


ぐるりと辺りを見回したけれど、編集部内に彼の大きな体は見当たらない。

もしかして先に帰った……のかな。大きな欠伸をして立ち上がり、編集長のデスクに近寄る。

お世辞にもキレイとは言えない机の上には、赤ペンのたくさん入った原稿、開いたままのイラストカット集、クリップでまとめてある企画書、編集部の出勤簿、昨日買ったコーヒーの空容器……ありとあらゆるものが散らばっている。

これじゃいるのかいないのか全然わかんないな……

そう思いながら顔に手を当てると、メイクしたままでひと晩明かしてしまったせいかいつもよりもべとつく感覚がして、思わず「げ」と呟く。


「顔洗ってこよ……」


化粧ポーチの中に、ふき取りタイプのメイク落としがあったはず……

バッグからポーチを出すと編集部を出て行き、トイレの鏡の前でメイクを落とすと一応はスッキリした。

……ついでに、貧相な顔にもなったけど。


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