極甘上司に愛されてます


どこにも正解はないと思う。

でも、答えの出ない問いに立ち向かうことは、決して無駄なことじゃない。

答えを導き出す過程に、大切なことがいくつも隠されていると思うから。


それで……ふと思いついたんだ。

その疑問に対して真剣に悩むことに、いつも私たちの新聞を読んでくれている人たちを、巻き込んでみたらどうかなって。


一心不乱にキーボードを叩いていた私は、トン、とENTERを押すと、一番上に戻ってその文字を目で追う。


【街の人、100人に聞きました。
 ~恋と仕事は両立できますか?~】


――この企画書が完成したら、編集長に提出してみよう。

仕事に対していつも受け身の姿勢だった私は、自分で企画書を作るのは実は初めて。

紙面をよりよくする提案は誰だってしてもいいはずなのに、まだ二年目だからって甘えて、自主的に動こうとしていなかった。

ブライダル特集の方もまだ終わっていないけれど、今の私ならきっとできる。

そう自分に言い聞かせると体中からやる気がみなぎる気がして、その日の私は夜遅くまで、パソコンと睨めっこしていた。


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