俺様富豪と甘く危険な恋
恋人になったは自分だけじゃない……考えてしまうと、今だけなのだと思ってしまう。


「栞南！」


蓮は声を荒げるが、栞南の困惑した表情を見て顔を和らげる。

そして栞南の元へ戻ってくると、床に跪きうつむいた顔を見た。


「栞南……」

「……たくさんのことが……いろいろあって……」


自分からは別れなんて到底切り出せない。栞南はどう言ってよいのかわからなかった。


「一度、日本へ戻らないと……」


また戻ってきたいニュアンスを含めてしまい、栞南の顔は恥ずかしさで赤みを帯びる。


「……そうだな。一度戻った方がいいのかもしれない」


こんなに突然、蓮から離れるとは思わなかった栞南は愕然となっていた。


（泣いて朝日奈さんと別れたくないって……言ってしまいそう……）


「副長官から詳しいことを聞かなければまだはっきり言えないが……土曜日……俺がイギリスに発つ日、日本の便を手配しておく」


栞南はこくっと頷くのが精一杯だった。

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