俺様富豪と甘く危険な恋
ダイニングテーブルに座っている蓮はコーヒーを飲んでおり、有能なビジネスマンらしく濃いグレーのスーツを着ていた。


「泣くなよ。ブスになるだろ」

「ブスでもいいんですっ。涙が出てきて止まらないんですっ」


蓮の顔を見るとまた涙が出てしまう。

蓮はイスから立ち上がると、ハンカチで栞南の涙を拭う。


「嘘だ。泣くと可愛すぎて、手放せなくなりそうだからもう泣くなよ」


蓮は胸に栞南の震える肩を抱き寄せ、しばらくそのままで動かなかった。

そこへ――


「お邪魔でしたか?」


と、ダニエルの声がして栞南は飛び跳ねるようにして蓮から離れる。


「い、いいえ……」


そう言いながらも、うつむく栞南だ。


「いつもながらにタイミングが悪い男だな」

「こんな光景も想像していましたが、時間なので」


蓮は腕時計で時刻を確認する。ここを出発する7時を5分ほど過ぎていた。

栞南のスーツケースをダニエルは運ぶ。

先に行ったダニエルの後を追うと、エレベーターは行ってしまったばかりで彼はいなかった。


「一応、気を使ったんだろうな」


気を利かせたダニエルに蓮は苦笑いを浮かべた。


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