俺様富豪と甘く危険な恋
1週間で来てくれると約束してくれたのだ。日曜日を楽しみに仕事をがんばれそうだった。

翌日は昨日と違って気を楽にして仕事に出かけられた。

昨日は出社1日目で誰もが旅先での盲腸を話題にしてきた。

ボロが出ないか内心ひやひやしていた。

孝太郎が常務の娘と婚約したときも、昨日みたいな気持だったなと思い出す栞南だ。あのときは話題が話題だっただけにしばらく出社するのが苦痛だった。


オフィスビルのエレベーターホールでエレベーターを待っていると、後ろから「おはよう」と声がかかる。

振り向かなくてもその声が孝太郎のものだとわかる。

聞こえないふりをすることも出来たが、隣に並んだ孝太郎に「おはようございます」と挨拶した。


「水野さん。今日の夜、時間ある?」


突然、孝太郎に聞かれて栞南はなんの誘いなんだろうと、目を丸くさせる。


「ご、誤解するなよな。君に男を紹介してやろうかと」


栞南に誤解させたと思った孝太郎は慌てて唇を尖らせて言い訳する。


「別に紹介してくれなくてもいいです!」


周りにエレベーターを待つ人が集まってきて、小さい声で言い切ると、扉が開いたエレベーターに乗り込んだ。


(元カノに彼氏を紹介するってなんなのっ。本当に無神経なオトコなんだから)


栞南は少し離れたところに立つ孝太郎の後姿を5階フロアに到着するまで睨んでいた。

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