俺様富豪と甘く危険な恋
栞南はコートをイスの背もたれにかけてから、2人の間の席に腰を下ろした。


「水野さん、なに飲む? なま?」

「あ、グレープフルーツサワーをお願いします」


今田主任が話しかけてくるから隣に孝太郎がいてもそれほど気づまりではない。


「水野さん、雰囲気変わったね」

「えっ?」


運ばれてきたグレープフルーツサワーを飲もうとした栞南はキョトンとした顔を今田主任に向ける。


「彼氏が出来ただろう? キレイになった」

「そ、そんなことないです」


脳裏に蓮の顔が思い出されて、とっさに否定したもののどもってしまう栞南だ。

昨日も同じ部署の神田りさ子に「彼氏が出来たの?」と聞かれ、そんなに自分は変わったのだろうかと首を傾げてしまう。


(恋をしているからかな……)


「怪しいな~ 彼氏ぐらいいるって言えばいいだろう? それとも秘密の関係とか?」

「今田主任~。秘密の関係って、どんな関係なんですかー?」


今田主任の隣に座る栞南より1年早く入社している総務課の女性、林未来(ハヤシ ミク)が栞南の前に座っており、会話に入ってくる。

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