俺様富豪と甘く危険な恋
暖房の効いた電車の中に入ると、栞南はバッグからスマホを取り出した。

蓮からの連絡を期待して開いてみるが、なにも入っていなかった。


(今日も連絡なしか……どうしたんだろう……)


もしかしてデートで忙しかったりする?と、バカなことを考えてしまうが、あれほど愛してくれていた蓮を信じる気持ちが大きい。

栞南はポジティブに明日は蓮から連絡があると、心に言い聞かせてスマホをバッグに中にしまった。

だが、自宅に戻ってからやっぱり声が聞きたいと栞南は思い、蓮に電話をかけるが留守番電話だった。

栞南は「時間が空いたら……何時でもいいから声が聴きたいです」と伝言を残し電話を切った。

電話をかける時、栞南の心臓はドキドキしていた。

通話にならず、伝言を残している途中も心臓が暴れた。

電話を切った後も胸の鼓動は激しく高鳴っていた。

まさしく恋する乙女で、こんなに人を好きになったのは初めてだ。

蓮からの電話を心待ちにして、お風呂に入っているときも、寝るときも、そばにスマホを置いていた。

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