俺様富豪と甘く危険な恋
「連絡があったの? 今さら会いたいって? それとも無駄なことをしにいくの?」

「連絡があったの。会いたいなんて言われてないよ」

でも笑って話せる状態ではなく、栞南の表情は暗い。優香はそこを鋭く把握した。

「別れようって?」

「……うん。でも会いたいの」

「別れようって言われたのに香港くんだりまで行くの!? バカじゃないのっ」


優香は栞南に呆れる。


「レンに会いたいの。このまま二度と会えないなんて出来ない! 行かなかったらもう二度と会えないんだよ?」


栞南はきっぱり言った。その瞳を見て優香は「ふう……」とため息をつく。


「それほど言うなら仕方ないね。栞南の気が済むなら。私が一緒に行ければ殴っているところだけど……行ってらっしゃい」


大事な親友をここまで好きにさせた男に興味はあったが、一緒には行けない。心配だが優香は栞南を送り出すことにした。


「うん! 行ってくるね!」


優香の言葉に押されて、栞南に少し明るい笑みが戻る。

少しして栞南は優香に玄関で見送られて、羽田空港に向かった。


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