俺様富豪と甘く危険な恋
なんとなく蓮の身分は納得できた。納得できなくても守ると言ってくれたからには栞南に選択肢はないのだが。

香港警察に行くことも出来たけれど、こんな時間でしかも英語は旅行会話ぐらい。そんな栞南は香港警察に相手にされないかもしれないし、24時間付き添い、身の安全を守り、日本まで連れ帰ってくれることなどまず無理だろう。

日本の領事館もこの時間では開いていない。

食べながらめまぐるしくいろんなことを考え、守ってくれると言う蓮を信用しようと思ったのだ。

蓮が自分のことをどうでもいいと考えているなら、拉致されたトイレで目的の物だけ奪って放っておくだろう。

そしてその後、栞南がブルーダイヤを持ってないことを知られて……殺される。

栞南は白身魚の蒸し料理を口にしながらぶるっと震え、蓮に任せるしかないと決心した。

そんな経緯から栞南は移動するという蓮の車の後部座席に乗っていた。

BMWは海底トンネルを抜け、料金所を通り過ぎ、高層ビル群の間を走っている。

蓮は頻繁に自分の車の回りに目を配らせていた。


「こっち側は香港島ですよね?」


めまぐるしく変わる景色に栞南は蓮に聞いてみる。


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