俺様富豪と甘く危険な恋
彩を見ていると自分もあのくらいに髪を伸ばして、カッコ良く生きていければな、と思う。

現在の栞南の髪は肩までのショートボブ。生まれた時から髪の色がブラウンで、柔らかい髪質に緩いクセっ毛。

ここ4年はずっと同じ髪型だった。

日本に戻ったらイメチェンしてみようか。イメチェンしてきっぱり過去を捨てるために会社を辞める?


(でも、一応商社……普通の会社の一般事務よりはお給料はいいし……)


男のためにこの就職難の時代に辞められるわけがない。

恋人と別れたばかりだから、今は誰とも付き合いたいと思わない。もしかしたら一生独身ってことになるかもしれない。オトコに裏切られて、信じられなくなった。

カッコ良く仕事して、いろいろな所へ旅行したい。

そう考えたところに脳裏に浮かんだひとりの男性。

着いた日の夜、リッツ・カールトンで夕食をひとりで食事していた時に、アジアンビューティーな女性を連れた隣のテーブルに座った彼のことだ。

不意に目と目があって栞南の心臓が跳ね上がったのを今でも覚えている。

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