俺様富豪と甘く危険な恋
(なに? これ、つよっ)


咳をしたいのを我慢していると、蓮の笑い声が聞こえた。栞南の斜めに座った蓮は、やはりソファではなく毛足の長いラグの上だ。


「お前には強すぎるかもな。水割りにするか?」

「いいです。おかわりください」

「少しずつ飲んだ方がいい」


蓮は早くも顔を赤くさせた栞南をたしなめる。


「自分で注ぎます」


栞南はスコッチのボトルを取ろうとして手を伸ばした。その手が蓮の長い指に阻まれる。


「あっ!」


蓮に手を掴まれて目を丸くする。


「急性アルコール中毒にでもなって自殺する気か?」

「そ、そんなんじゃないです。早く酔って眠りたいんです」


お酒のせいなのか早くも心臓がドキドキと暴れ始めていて、掴まれた手にドクンドクンと振動が伝わってしまいそうだ。

栞南が手を引くと蓮の手が自然と離れた。

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